【教えて】個人事業主がカードローンを利用するときに気をつけること

Q.個人でカメラマンをしています。数年前から個人事業主として登録し、いま青色申告でなんとかやっています。最近ようやく年間の売上が1千万をこえるようになってきたので、すこしずつ人を雇って、事業を拡大したいと思っています。また法人成りするつもりはないので、個人事業主として借り入れをしたいのですが、個人ででも借金をしたことがないので、どなたかに個人事業主が借り入れをするときに気をつけることをご指南いただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

A. 法人成りを焦らないのは非常に賢明かと思います。数年前ですが、会社法が改正され、資本金1円から会社が設立できると司法書士事務所や法律事務所が宣伝したため、多くの個人事業主が会社成りしましたが、結局はさほど売上が上がらずに法人税や複雑化した事務業務に忙殺されている、という人たちをたくさん知っています。よく自分の実力を見極めてから会社化するようにしてください。

さて、個人事業主としての借り入れの問題ですが、まず気になるのは総量規制の問題かもしれません。総量規制とはご存知のように数年前の貸金業法改正により、個人が借り入れることのできる金額が年収の3分の1に制限されるということです。しかし、通常個人事業主が事業目的として借りることはこの対象から外れます。ですから、その心配はされなくて大丈夫でしょう。さらには、あなたが銀行を取引相手として借り入れを予定しているのであれば、銀行からの借り入れはそもそも総量規制の対象から外れますから、まったくもって心配はいらない、ということになります。

さて、個人事業主が事業目的で借り入れを行う場合、個人がショッピングのためにカードローンを利用するのとはワケが違います。まずなんといっても多額の借り入れが必要になる場合があるでしょうし、また金利も個人が数十万円程度借りる際の高金利と同じような金利で借りていいたら、破産してしまいます。それで、多くの銀行もそのニーズを踏まえてビジネスローンなるものを準備しています。もっとも、ビジネスローンの主な対象は法人なのですが、銀行も個人事業主のニーズを吸い上げようと利用しやすいビジネスローンを提供し始めていますから、是非利用を検討してみてください。カードローンの場合ですと、限度額が大きいのと、金利が低いのが特徴です。

個人事業主の場合、審査の際にネックになるのが収入です。あなたの場合は年間の売上が一千万円を超えているとのことですので、多分大丈夫かと思いますが、その分経費もかかりますよね。また、会社に勤めている人たちと大きく異なるのは収入が安定しない、ということです。あなたもきっと経験しておられるかと思いますが、ある月はものすごく売上が出るが、別の月はまったく仕事が入ってこない、それが個人事業の悩ましいところです。もっともそのあたりは審査をする側も分かっていることでしょうから、過去の売上に関する書類や発注元など、審査にポジティブに影響するものを審査の際に提示して、自分の事業にどれだけの返済能力があるのかを客観的に知ってもらうようにアピールしましょう。

こうした個人事業主向けの融資をうまく利用して、今後も事業は発展していかれることを願っております。

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